【2024年版】
登山とサバイバルシート
エマージェンシーシート
防寒と緊急時の対策に

まとめ
  • エマージェンシーシートは軽量コンパクトで体温の保温に有効
  • 強風下ではバタつき保温効果薄い&うるさい
  • リーダーや子連れの親は携行していても良いかも

 

緊急時の防寒対策に非常に有効なサバイバルシート(レスキューシート・エマージェンシーシートとも呼ばれる)というものを知っていますか?山での遭難時に、体温を保持するためのテカテカ反射する銀色シートです。

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このサバイバルシートが富士山登山で役立つ場合もあります。

山頂でのご来光には向かない?

風が強いことが多い富士山の山頂でエマージェンシーシートを使うと、風でバタついてそれほど保温できないだけでなく、音も気になりご来光に集中しにくいです。エマージェンシーシートはあくまでお守りで、保温はウェアでしっかり対策した方が良いです

 

サバイバルシートの特徴

非常に薄く、持ち運びもコンパクトです。(因みにキッチンでつかう料理で使われるアルミ箔と違います)

適度な強度があり、何度も使えます。(何度も使っていくと穴が開いたり、痛んではいきます)

このサバイバルシートには特長は

  • 人間1が包まるのに十分な大きさの長方形シート
  • 風により熱が奪われるのを防ぐ
  • 銀色で内側の自分の熱を反射し、保温する

といった効果があります。

経験談

私自身も登山において過去何度も使用しています。

厳冬期八ケ岳登山で。おそらく外気温は-10度以下。しかも風強く足先の感覚が鈍い状況

ちょっと上の写真は、極端な例ですがサバイバルシートは、エマージェンシーではない状況でも防寒具として非常に有効です。実際に、これを使うと体の熱が奪われるのが低減され、使う前より温かいと感じることができます。

登山仲間にも使ってもらいましたが、みな口を揃えて「おおっ!こんなに違うんだ!あったかい!」と言っていました。

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体感できるほどの高い保温力の割に、価格も安く(数百円)、非常に軽量(60~70g程度)で、コンパクト(ポケットティッシュ程度)なため、緊急時以外でも、早朝にじーっと動かずに30分以上も日の出を眺めるときの防寒装備としても役立ちます。

風が強い日のご来光時には不適

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管理人

最初に書いておこうと思いますが、富士山の山頂など風が強い場所では使用には向かないことがわかりました。

経験談

2016年9月1日に、私自身が実際に山頂で使いました。

富士山山頂からのご来光

経験上、山頂ご来光は非常に寒いことがわかっていたのため、厳冬期雪山登山で使用している防寒装備をすべて着用しました。そのため、十分暖かく、わざわざエマージェンシーシートを使う必要がなかったのですが、せっかく事前に買って持ってきたので使ってみることにしました。

この日の山頂は、立って歩くと風で体が揺れる程度の強風(おそらく風速10m程度)でした。

その中で、ザックからエマージェンシーシートを取り出しました、袋から出すと、バタバタバタバタと風で一気に広がりました。風でバタつくシートをなんとか体に巻き付けました。

SOL(ソル) ヒートシートサバイバルブランケット

なんとか包まれるものの、暖かい云々より、あまりに風が強すぎてシートがバタバタバタバタバタバタ!と煽られる音が騒がしいです。

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ゆっくりと登っていく味わい深いご来光を見たいのに、騒がしくて集中できません。これはダメだということで、エマージェンシーシートを撤収しました。

この経験から、風が強い場所には不適とわかりました。風が穏やかな日、風の影響を受けにくい山小屋前のベンチからご来光を見る場合には、エマージェンシーシートが使えると思います。ただ、事前にどの程度の風が吹くかは予測が難しく、山頂でのエマージェンシーシートによる保温は天候状況次第となります。

 

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管理人

そのため、山頂でのご来光時に使う予定であれば、あくまで補助的なものと捉えて用意すると良いでしょう。

 

サバイバルシートの意外な出番

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風の強い天候の中、ゆっくり朝日が登るのを眺めたい・・・というのには向きませんが、緊急時の防寒対策や遭難救助には非常に役立ちます。

注意点

富士山の五合目以上の登山ルートでは山小屋が多く、ある程度動ける状況であればエマージェンシーシートの出番はほぼ無いでしょう。しかし、

  • 悪天候の中、登山メンバ-が身動きができないほどの高山病を発症してしまった
  • 悪天候の中、転倒して怪我して歩けなくなった

などの自体が起こることもあります。救助を求めても救助者が来るまでに時間がかかります。その場合の一定期間の体温保持に非常に有効です。

ヘリの救助で発見しやすい

富士山以外にも頻繁に登山する方は、ぜひとも遭難対策としてサバイバルシートを携帯すると良いかもしれません。

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管理人

実はこのサバイバルシート、遭難したときのヘリ救助のときにかなり役立つそうです。関係者から聞いた話ですが、「ヘリで遭難者を捜索するときにこのサバイバルシートのキラキラがかなり目立つ」と言っていました。

黄色とか、オレンジとかよりも銀のキラキラがすごく目立って発見しやすいそうです。

行動不能者の保温

また、滑落や怪我などで歩行不能となってしまった登山者の救助が来るまでの体温維持・保温にも非常に有効です。実際に救助までにエマージェンシーシートが使われた様子がYouTubeに掲載されていました。

万が一の遭難時の備えとしてサバイバルシートはかなり役立つと思います。

個人的意見

富士山でも登山グループのリーダーや子連れの親は携行していても良いかな、と感じます。私は緊急用として、難易度の高い登山では携行することが多いですし、富士登山でも近年持っていくようにしています。(自分用というよりは、遭難者を発見したときのサポートに使える理由で)

一合目からの富士登山や、登山者の少ない古道ルートを登る場合は、できるだけ準備したい装備です。

おすすめのサバイバルシート

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管理人

一番安価なものでは、100均でも販売されています。

サバイバルシートにもいろいろあります。一番安価なものでは、100均でも販売されていますが、ここではもう少し高機能なものを紹介したいと思います。

ハイマウント サバイバルシート ゴールド

もう少し機能性のある物では、ハイマウント サバイバルシート ゴールドが人気で評価も高いです。

  • サイズ(約):縦210×横130cm
  • 重量(約):55g

一般的なサバイバルシートは両面が銀色なのですが、これは片側が金色になっています。これは銀色は光熱を反射し金色は光熱を吸収する性質を利用したものです。実際に寒い状況で使用するときには、銀色の面を体側に、金色を外側にすると効率的に保温できます。重さも数十グラムで、大きさもポケットティッシュくらいですから。富士山頂で、少しでも温かくご来光を眺めたい人はぜひ試してみてください。

amazonのカスタマレビューに

富士山頂ご来光待ちにて使用しましたが、重さがないため、風が強いとペラペラとめくれてしまいました。うまく体に巻きつけるにはコツがいるようです。発熱するのではなく保熱する素材ですので、風が入ってきてしまうと、当然のことながら効果がありません。ビニールテープなども持参すれば良かったです。ワシャワシャという音もけっこうウルサイです。テントの中で羽織るなど、無風状態での使用が前提ですね。「強風下」という前提では役に立たなかったので★2つです。

とあります。ワシャワシャ音は、結構します(音を聞きたい方はこちら)。

もう少し安価なシルバーもあります。

富士山で使うなら、次に紹介する「ヒートシートサバイバルブランケット」のほうが静かです。

 

SOL(ソル) ヒートシートサバイバルブランケット

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管理人

近年、登山者に人気(というより定番?)なのは、SOL(ソル) ヒートシートサバイバルブランケットです。

  • カラー:オレンジxシルバー
  • サイズ:約142×213cm
  • 重量:約70g

一般的なサバイバルシートとの違いは、

  • カサカサ音は他のメーカー品に比べると少ない
  • 他社品に比べて耐久性が高く何度か使える

このヒートシートサバイバルブランケット は、1人用(サイズ:約142×213cm 重量:約70g)と2人用(サイズ:約152×244cm 重量:約91g)があります。

評判がなかなか良くて、今まで使っていたエマージェンシーシートが何度も使いすぎてボロボロになったこともあり、試しに二人用を購入しました。

私は家族や山仲間と登ることが多いので、2人用を選びました。

SOL(ソル) ヒートシートサバイバルブランケット

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さっそく公園で包まってみます。

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風があり、手間取ります。。。

 

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無事包まりました。天気が良いので熱いです。

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収納は、二人用の場合、元の袋に入れるのは結構難しいです(^_^;)

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その後いろいろ試した結果、フリーザーバッグに入れると中身も見え、空気を抜いて小さく圧縮して収納できることがわかりました(^^)

この日はまあまあ風吹いていたのですが、確かに他社のエマージェンシーシートに比べればカサカサ音がかなり少ないです。とはいっても風でバタつくとそれなりに音はします(聞きたい方はこちら)。触り心地も柔らかく、何度も使えそうです。何度も使えば穴は開いたりすると思いますが、普通に包まって使うなら問題ないです。あとは、使うと雨や結露で濡れるため実際に登山で使ったときは帰宅後にちゃんと乾かす(天気が良ければすぐ乾きます)のが長く使うコツだと思います。

また、こういうエマージェンシーシートは上手に包まれば、体感できるほどの保温力があります。アルミ蒸着による熱反射の効果もありますが、風を遮断して保温する空気層ができるからです。

他のエマージェンシーシートに比べて価格が多少高いですが、富士山のご来光待ち以外の登山で何度も使っていきたい、できるだけ音が静かな方がよい、という方はこのヒートシートサバイバルブランケットがおすすめです。

以下、amazonカスタマーレビューより抜粋

  • 富士山頂で大活躍(2017年7月26日):富士登山のためのお守りとして購入。2016年9月10-11日。まぁ使わないんだろうが安いからいいかぐらいな気持ちで持って行ったのだが、頂上でご来光を待つ間は極寒&強風で生きた心地がしなかった。本製品を体に巻いて体温が下がらないように耐え忍んだが、なかったら耐えきれなかったと思う。
    ありがとう!助かりました!
  • 手入れ不可な環境では使い捨ての品(2017年9月13日):夏富士山の夜間登山で、保温の為に大変重宝しました。温かい。しかし、発汗のために結露したこのシートをそのまま畳み、数日後に広げてみたところアルミがボロボロに剥がれていました。細やかなメンテナンスができそうに無い被災下では、この品は使い捨てになると思われます。

「SOL ヒートシートサバイバルブランケット」の購入者レビューと実売価格

上記で紹介した以外にも様々なものがありまので、興味のある方はいろいろ調べてみてください。

エマージェンシーシート(ビバークザック・シート)の人気・売れ筋ランキング

 

エマージェンシーシートのポンチョ

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エマージェンシシートのポンチョ形状の製品もあります。ザックを背負ったまま装着できるゆったりサイズ。

コメント

一枚地のシートだと、どうしても隙間や強風時は手で抑えていないとはだけて隙間が空いてしまいます。ポンチョ形状のエマージェンシシートなら被ってるだけでOKなので、一人用の遭難時の防寒対策だけでなく、日常生活の急な雨対策としても使えると思い、紹介しました。

  • 防災用、アウトドア用に1枚はあると良い!(2021年3月22日):災害などに伴う冬場の停電や、アウトドア時の防寒の補助のため購入しました。良いところは下記、3点。
    ・軽い ・コンパクトに収納できる ・暖かい 。折りたたむと手のひらサイズになるのに、安物の変なウルトラライトダウンより暖かいんじゃないかと思うくらい保温能力が高いと思います。バックのポケットに常に入れてても良いかもしれません。
[出典:amazon]

上の写真は「ソル(SOL) ヒートリフレクティブポンチョ」という製品ですが、興味のある方は、ぜひ試してみてください。(これも強風時は風でバタバタ騒がしいと思います。amazonに類似品も複数あります。)

 

 

装備・持ち物リスト

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管理人

10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。

【簡易版】「42項目」富士登山の装備・持ち物リスト一覧(クリックで開きます)

服装・装備・持ち物の準備リスト一覧(簡易リスト)

  • -遭難、怪我のリスクを防ぐ最重要装備
  • -登山の安全性・快適性が向上する装備
  • -登山の安全性・快適性が多少向上する装備
  • -あれば便利な装備

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