高山病の症状、予防と対策

富士登山に挑戦する前に、発症しやすい高山病の症状、予防と対策について知識をつけておきたいものです。

なぜなら、

富士登山では簡単に高山病になる

からです。

 

おそらくこのページを見ている方は、富士登山について事前に調べてから挑戦しようと考えている素晴らしい方々だと思うのですが、きっといままでに調べる中で「高山病」というキーワードが出てきたこととおもいます。

 

高山病と聞いて「なんだか恐いな~。」とか「え~、なったらどうしよう。。。」と不安になる方もいれば、

「いやいや、私は普段から運動してるから大丈夫」と楽観的に捉えている方もいるとおもいます。

 

私の富士登山における実際の統計を書きましましょう。

2007年8月 4名中2名が高山病を発症(2名とも頭痛)

2008年8月 4名中2名が高山病を発症(1名は寒気、1名は動けないほどの激しい頭痛)

2009年8月 2名とも特になし

2010年8月 2名とも特になし

2011年8月 7名とも特になし(このときは十分に予防対策を行っていた)

 

因みに、2010年は登山上級者と私の2人なので、あまり統計値として参考にならないかもしれません。

個人的な感想をいうと、

だいたい数人で登れば1人ぐらいは何かしら症状は出るんじゃないかな?

とおもいます。

 

登山者の49%が高山病にかかっていた(吉田口環境保全推進協議会)

2012年11月29日のニュース記事に驚きました!

 

富士登山者の半数が高山病に!

 

非常に衝撃の富士登山者アンケート結果です。

  • 富士山登山者の49%は頭痛などの高山病にかかったと回答
  • はじめての登山者は高山病になりやすい
  • マイカーの人は高山病になりやすい
  • 3人以上のグループは高山病になりやすい

診療所の受診者の約7割が「高山病」(富士山診療所)

富士山富士宮口8合目には夏の限られた期間だけ夏期臨時診療所「富士山衛生センター」が運営されています。

その診療所の受診者の約7割が高山病という現実があります。

20110807.jpg

元記事はこちら

上記の記事をまとめてみますと・・・

  • 富士山診療所の3大傷病は高山病と外傷と低体温症
  • 受診者の約7割が高山病
  • 20代から30代の受診者が目立つ。体力があるので無理しがちが原因。
  • 準備不足が原因。山の天気は急変するので雨具(レインウェア)は必需品

ということですね。

 

富士山に登った子どもの5割超「急性高山病」に(日本旅行医学会)

2014/06/19にANNニュースで発表された内容です。

子どもはこれほど高山病になりやすいのかと、衝撃でした。

富士山に登ったこどもの5割超「急性高山病」に

 

  • 5歳~12歳の子ども245人のうち、134人に頭痛や吐き気などの急性高山病の症状みられる
  • 症状が出た場合は登山をやめる

夏の富士登山では、多数の子連れファミリーいますが、注意しましょう。

 

実際の体験談

◎ケース1 登山中に頭痛発症。唇は真っ青。

いまも忘れられない2008年の富士登山。

仲間1人が8合目付近で「頭がいたい・・・」と言い出す。

高山病を発症してしまったようだ。

 

その症状は登るにつれてひどくなり、唇は真っ青、体は震えていた。

登るスピードもガクンと落ちてしまった。

私はその友人の面倒を見て、残りの仲間は先に進むことになった。

 

高山病を発症した友人の症状は、まるでインフルエンザにでもかかったかのように重症。

このまま生きて帰還できるのかと本気で思った。

 

◎ケース2 下山途中に激しい頭痛!

ケース1の仲間が「登頂したい」というので、何とか登頂。

その後下山し、勢いよく下っていたら別の友人が「あたまが割れそうだ・・・」といい始めた。

高山病を発症してしまった。

私を含めた4人のうち2人が高山病になってしまった。

 

しかも、その友人の頭痛はひどいらしく、まったく動けなくなってしまった。

いつも明るい友人から完全に笑顔が消えて、とても苦しい表情に。

励まそうと、私が冗談を言ったら

「俺そんなに余裕ないから。」

と真顔で返される始末。

 

頭が割れそうなほど激しい頭痛で倒れる友人(手前)。奥の人は元気。

 

横になって休んでいても、友人の高山病はまったく改善しない様子。

ずっと留まっていてもどうしようもないので、なんとか動いてもらう。

 

吉田口(河口湖口)の下山道はジグザグに折り返しているのだが、その折り返し地点で毎度小休憩しながら下山した。

 

◎ケース3 ご飯食べてその場で嘔吐

富士山の7合目の山小屋で働いたことのある友人の話。

「山小屋の中で登山者がご飯を食べていると、そのまま嘔吐してしまう人が結構いるんだよね。

口に食べ物入れて、その場でゲーッてね。

もう、あんなふうになったら、たぶん下山したほうがいいんだけど。」

 

 

高山病とは?

そもそも高山病とはいったい何なのでしょうか?

高山病とは、標高が高くなるにつれて気圧が低くなり、それに伴って空気中の酸素が少なくなり体の各組織で酸素が欠乏状態になったり、気圧の低下に乾燥して体の水分が欠乏することが原因で発症する症状です。

富士山のように標高が高いところへ行くと発症しやすいです。

エベレストなど、海外の高山を登ると多くの人が大なり小なり高山病を発症します。

高山病の症状

高山病の症状は、頭痛、嘔吐、呼吸困難などです。

富士登山で良くある症状は頭痛、嘔吐です。

症状の重さは、人によってさまざま。

ちょっと頭が痛いレベルの人から、頭が割れるほどの激しい頭痛で動けなくなる人もいました。

 

高山病はつらい!!!

実は私、今までに何度も富士山に登っていますし、アルプスなど3000m級の山々を何度も登っていますが、一度も高山病を発症したことがありません。

それは、そもそも3000m級で高山病を発症しにくい体質ということと、自分自身も気をつけているからです。

そのため、どちらかというと高山病を発症した友人を看病することが多いのですが、その友人を見ていて

本当にかわいそう。。。

と心底思うのです。

 

まず第一に、その状況がつらい!

例えば、仲間と富士山を登って8合目で激しい頭痛になったとします。

「ううう、頭が激しく痛い。割れそうだ・・・」

となったとします。

 

どうします?

 

登りますか?下山しますか?

 

どちらを選んでも、数時間はその激しい痛みに耐えなければなりません。

しかも、行動スピードがガクンと落ちて、ゆっくりとしか動けません

 

しかも富士登山となると、前々から仲間と計画して、登山装備を買って、登頂目指してきているのですから、心情も複雑です。

 

高山病になりやすい人

実は高山病になりやすい人がいます。

私もそれなりに山登っていますので、高山病に関して聞く機会が多いので、こんな人は要注意!というのをまとめてみました。

  • 普段まったく運動しない人・・・心配機能が鍛えられていないため、高山病になりやすいでしょう。
  • 肺活量が少ない人・・・私の友人がそうなのですが、酸素を取り入れる能力が低いためなりやすいでしょう。
  • そもそも高山病体質の人・・・たとえば、2000m級の登山で高山病になる人は、富士登山でもなる可能性が高いでしょう。もちろん、過去に高山に登ったことがない人はわかりません。
  • 偏頭痛もちの人・・・普段から頭痛がある人は、高山病になりやすいと聞いたことがあります。

以上の項目に当てはまる人は、要注意かもしれません。

 

高山病の予防方法

実際問題として、高山病になると自分自身がつらいですし、場合によっては一緒に行動している仲間にも負担をかけてしまいます。

予防できるなら、全力で予防したいですね!

 

高山病は

  • 体の各組織で酸素が欠乏状態
  • 気圧の低下により乾燥して体の水分が欠乏

することが主な原因ですから

  • ゆっくり登る・・・酸欠になるのを防ぎ、体を徐々に高度順応させる
  • 呼吸を深くする・・・酸欠になるのを防ぐ
  • 水分をたくさん取る・・・脱水症状を防ぐ
  • 睡眠をしっかりとる・・・弱った体で登らない
  • 体を冷やさない・・・冷えると血液中の酸素の有効活用が、できなくなってしまう

の以上のことを肝に銘じて、行動すると良いでしょう。

逆に言うと、普段と同じ行動では良くないということです。

意識的に、酸欠や水分不足にならないように注意することが非常に重要です。

 

高山病になったら

非常に残念なことに、高山病になってしまった場合の対処法です。

 

一口に高山病といっても、その症状はさまざまです。

少し頭が痛いな~程度から、身動きが取れなくなる程度あるので、その状況に合わせて対処することが大切です。

 

高山病には

標高を上げると悪化し、下げると治る!

という、とってもわかりやすい特長があります。

登山途中に、ひどい症状が出た場合は、下山することをおすすめします。

そのまま登ると、ますますひどくなりますから。

 

実際に、富士山の診療所に担ぎこまれた高山病患者は、酸素吸入をして症状が改善したあとは下山します。

 

あれほど高山病で苦しんでいた友人が下山して

「あれっ?そういえばもう頭痛くないや(^^)」

と言って元気になっていたのにはビックリしました。

 

高山病になったら酸素缶?

それと、高山病対策として有名な酸素缶ですね。

実際に富士山の診療所に高山病の患者が来たときは、酸素吸入するそうです。

ただ、関係者から聞いた話ですが、私の記憶が間違っていなければ

酸素吸入を約30分ほどすることで症状が改善します

と聞いた気がします。

つまり30分ほど高濃度酸素を吸い続けてようやく効果あるということです。

 

一般的に販売されている酸素缶はこんなやつです。

その仕様を見てみると・・・

  • 容量:5L
  • 濃縮酸素約95%
  • 使用回数50~60回(約2秒/回)

となっていますよね。

酸素を吸うのに2秒、吐くのに2秒としたときに、この酸素缶1本で上手に使っても 4秒×50回=200秒≒約3分程度 にしかならないということです。

つまり、診療所で行う酸素吸入の治療行為の10分の1しか出来ないわけです。

 

インターネットの富士登山の高山病関連の記事で、「酸素缶は効果がある!」とか「酸素缶は効果がない!」などと書かれています。

どちらもある意味正解で、厳密にか書くと、

酸素缶は効果があるが、1本では高山病の改善を期待しにくい

というのが、正解のような気がします。

 

じゃあ、何本もこの酸素缶を用意すればいいのかと思う方もいるかとおもいますが、残念ながらそれは難しいです。

なぜならこの酸素缶は超でっかいからです。

 

sansokan2.jpg

 

だいたい1リットルのペットボトルの大きさがあります。

そんなのを何本ももっていくのは現実的でありません。

 

普通の酸素缶は酸素量が少なく、収納には大きすぎて登山には不適なのです・・・が、最近はホント便利な時代になりましたね。

実は知っている人は知っているというマル秘酸素缶があります。

 

それは、これです。

 

新パッケージ
世界最小サイズの携帯酸素 ポケットオキシ 大容量10リットルなのにポケットサイズ

最近、濃い青色のパッケージのものにリニューアルしました。

この酸素缶は、登山用としては画期的です。

  • 重量:145g
  • 酸素(99%)
  • 充填量 10L

なんと酸素容量が10リットルもあります。

一般的な酸素缶の2倍あります。

 

しかも、サイズがめっちゃ小さいのです!

ポケットオキシ ポケットオキシ

旧パッケージのを1個持っています(サイズを見る限り新パッケージと大きさはほとんど変わりません。)が、ザックの片隅に入れて置ける程度の大きさです。

普通の酸素缶にくらべると圧倒的に小さいです。

この小型酸素缶だと、ザックの中に余裕で入ります。

 

酸素の容量も10リットルもあるので、おおよそ6分程度は酸素吸入に使えそうです。

つまり計算上は、5本程度用意すれば富士山での高山病の改善が期待できるということですが。。。

単独登山で5本はちょっとあんまり現実的じゃない気がしますが、グループで各自1本もってて誰か高山病になったらかき集めて渡すとかならできそうです。

 

2015/07/20追記 高山病対策の胸部拡大法

2015/07/11に富士山を登ったときのことです。八合目ぐらいから呼吸が苦しくなりました。

今までに何度も富士山登ってきていますが、その中でも上位に入るしんどさ。

呼吸も少し苦しく、このままでは高山病になってしまう恐れがあるので、登山スピードと呼吸に非常に気を使う。

登山スピードは、とにかく楽に登れるスピードにし、

呼吸は、息をしっかりと吐ききり、深い呼吸を心がける。

また、水分もあまり喉が乾いていなくても、飲む。

 

一度、高山病を発症すると、ほとんど登山中に回復するのは難しいため、いかに未然に防ぐか、が非常に大切です。

過去に高山病になった仲間の様子を何度も見ていて、せっかくの登山も高山病を発症すると頭痛や体調不良により楽しむのが困難になるのがわかっているので、とにかく全力で高山病にならないように気を配りました。

 

なんとか九合目(万年雪山荘)に到着。

IMGP4448

そして、ここで

IMGP4450

兄がダウーーーン!

前日の24時ぐらいまで仕事して、2~3時間の睡眠しかしていない兄は、ついにここで限界。

「ちょっと寝るね」と私に言って、このザックを抱えた姿勢で寝始めました。。。

 

私も自身の体力が残り少なくなってきているのを感じていたので、兄が寝ている間、ヨガの体操をして体力の回復を試みる。

約30分ほどして、兄が起床。

「だいぶ回復したわ」とのことで、山頂目指し、登り始める。

 

30分ほど登って、九合五勺(胸突山荘)に到着。

IMGP4458

この山小屋の名前は胸突山荘(むなつきさんそう)という強烈な名前ですが、胸を突くほど苦しい登り というのが由来だとか聞いたころがあります。

 

実際に、寝不足で弱った我々には、胸を突くほどとまではいかなくとも、かなりしんどい登山となりました。

 

ここから富士宮ルートの山頂まであと30分!

 

IMGP4459

睡眠不足、疲労、空気が薄いで、しんどい(^_^;)

 

そんなしんどい状況の中、私は新しい必殺技を編み出してしまいました!

その名も、胸部拡大法。

■背景

九合五勺を過ぎたあたりから、疲労、空気が薄いで明らかに呼吸が苦しくなりました。

そこで、もっと呼吸を楽にできないか?とうっすら考えたら、ザックのショルダーベルトが多少胸部を圧迫していることに気が付きました。

元気な状態なら全く気にならない程度の圧迫ですが、けっこう弱っていたので、ザックのショルダーベルトに親指を入れて、前にぐいっと押し出したら・・・体感できるほど呼吸が楽なったのです!

S__1966130

 

S__1966128

こんな感じ。

これをするしないでは、呼吸のしやすさに明らかな差がありました。

私は九合五勺から先の登山では、ほとんどこれをして登りました。

このお陰で、呼吸が楽になったので、自然と登るスピードも上がり、体も楽になりました。(手は疲れますが 笑)

富士登山でかなり追い込まれた時に、役に立つと思います。

みなさんも、山頂付近で息苦しくなったとき、ぜひ試してみてください!

以上、胸部拡大法でした。

 

 

まとめ

発症率と原因

  • 富士山登山者の49%は頭痛などの高山病にかかったと回答
  • はじめての登山者は高山病になりやすい
  • マイカーの人は高山病になりやすい
  • 3人以上のグループは高山病になりやすい
  • 富士山診療所の3大傷病は高山病と外傷と低体温症
  • 診療所受診者の約7割が高山病
  • 20代から30代の受診者が目立つ。体力があるので無理しがちが原因。
  • 準備不足が原因。山の天気は急変するので雨具(レインウェア)は必需品
  • 子どもは5割以上の確率で高山病に
  • 5歳~12歳の子ども245人のうち、134人に頭痛や吐き気など

予防法

  • ゆっくり登る・・・酸欠になるのを防ぎ、体を徐々に高度順応させる
  • 呼吸を深くする・・・酸欠になるのを防ぐ
  • 水分をたくさん取る・・・脱水症状を防ぐ
  • 睡眠をしっかりとる・・・弱った体で登らない
  • 体を冷やさない・・・冷えると血液中の酸素の有効活用が、できなくなってしまう

おまけ-富士山の登山ガイドによる高山病の予防・対策・対処法

富士山の登山ガイドのエキスパートの野中径隆さんが、高山病の予防・対策・対処法の動画を一部無料で配信されています。

 

「まったく違う気圧の場所で体が違う反応を示すのはあたりまえ」

「体を冷やさないようにする」

「車酔いを防ぐ」

と登山ガイド経験からくるズバッと明快な解説はこころに響きます。

以下のリンクから見れますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。

  1. 高山病とは?
  2. 高山病対策とマル秘アイテム
  3. 高山病予防のための体調管理
  4. 登山直前・直後の高山病予防・対策
  5. 高山病になってしまったら

 

最後に

もし高山病になってしまったら下山するのがセオリーです。

高度上げると症状がより悪化します。

 

一度、ある高度で高山病になってしまうと、その標高で回復するのは困難です。

いかに高山病にならないようにするか、未然に防ぐかが最大のポイントです。

 
 
しっかり予防して、富士登山を素敵な体験にしましょう(^^)


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